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パリの歴史的建造物 Castel Bérangerに和室を。 

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Castel Bérangerは、パリ16区のラ・フォンテーヌ通りにあるアール・ヌーヴォー建築でエクトール・ギマールが28歳の時に6階建て36戸のアパルトマンとして設計したもので、パリで最初のアール・ヌーヴォー建築となった。Castel Bérangerは、36戸すべてのプランが異なり、その部屋割りを反映して外観には砂岩、煉瓦、タイル、鉄と、さまざまな素材を寄せ集めたデザイン、ベランダや換気口などにはタツノオトシゴやライオンのような有機的なフォルムの鋳鉄細工が美しい壮大な建物が誕生しました。


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この建築物はアール・ヌーヴォーと芸術的前衛の象徴となり、作曲家ドビュッシーや詩人ヴェルレーヌといった一流の入居者を惹きつけるようになりました。

Castel Bérangerが完成した後、 ギマールはパリの地下鉄の入り口のデザイン任され、160以上のデザインでパリ中のメトロの入り口をデザインした。これは皆さんもどこかで見たことがあるはず。1900年の万国博覧会では海外から絶賛され、アール・ヌーヴォーの代表作として世界中で有名になりました。



パリの歴史的建造物に日本の伝統建材を

そんなCastel Bérangerのお部屋の所有者様よりご連絡いただき、お部屋の中に和室を造作することが実現しました。フランスの歴史的建造物の中に和室ができるなんて、素晴らしいことですね!


今回のプランニングでは、洋室の中に和室を造作しますが、Castel Bérangerの既存の美しい窓と和室の障子の関係性を持たせるために、障子の奥に赤い歌舞伎松の和紙を貼り、雪見障子を閉めたときと開けた時の和室の表情が異なって見えるようにしました。また、フランスの古い建物にはよくあるのですが、天井に照明のないお部屋でしたので、雪見障子の中に間接照明を配することで、より障子と歌舞伎松の金銀砂子が美しく見えるようにしました。




特注の金銀砂子和紙は福井県の手揉み越前和紙で夏水組の大切なパートナーである埼玉の襖紙工場 

大場紙工 で制作しています。


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畳は熊本のいぐさ「ひのさらさ」を用い赤い畳縁で 中川正人商店 にて特注寸法で制作してもらいました。


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昭和初期の雪見障子には桧と杉の枠材、上がり框も特注で、日本で組み立てたものを部材解体し航空便でパリに届けます。パリでの組み立てはパリの大工さん!

日本の木材の肌触り、香り、釘やビスを使わない枠材の仕組みに感激していました。


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その他のお部屋にも越前和紙を壁面に貼りました。獅子地紋のアンティークシリーズは金箔仕上げなので、大きな面に貼るとすごい迫力です。


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Castel Bérangerの共用部

廊下、階段、壁面装飾、全てがエクトール・ギマールのこだわりのデザインなのです。



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この歴史的建造物であるCastel Bérangerの中に日本の職人たちが手がけた伝統建材を入れることができたのは、本当に素晴らしいことです。ご理解くださったお部屋の所有者様、協力してくれた日本の職人とフランスの職人の皆さんに感謝しています。



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